2012年7月9日月曜日

イリュージョニスト/シルヴァン・ショメ監督

透明水彩のような背景が素晴らしい。特に霧や雨、曇空の描写が秀逸だ。その風景や街並の描写が本当に素晴らしいだけにストーリーが残念。監督が惚れ込んだという脚本に最後まで乗り切れなかった。(だいたいジャック・タチにそんなに思い入れがないのだ。)惜しいのは何といってもアリスに思い入れが出来ない点。この辺の事情が何も描かれていないので納得できない。アリスの身勝手ぶりと、それに何とか答えようとする主人公の奮闘ぶりに侘しさだけが残る。ストーリーを抜きにして観れば映像は非常に素晴らしいんだけど、それは無理。
同監督作でどうせ観るなら人物のデフォルメが日本人の感覚では有り得ないインパクトの強さで「ベルヴィル・ランデヴー」を勧めたい。